その職場は、1日でも早く辞めたいと思っていた。
もうだいぶ前から転職しようと決めていたのになかなか動けないでいて、もどかしい日々が続いていた。
転職活動をしようと思うと、なにかと時間が取られる。
面接の日程にしても、平日の日中に出向かなければならないし、メールや電話でのやりとりも頻繁になる。
現職を継続していれば、そちらの仕事に度々穴をあけることになる。
なんとかこなしたとして、面接を受けられる件数は、せいぜい月に2〜3件程度だろう。
某転職サイトの情報によると、10件〜20件の面接を受けてやっと内定が1つか2つ取れるというレベルらしい。
そう考えると、転職できたとしても1年以上先になってしまう。
かといって、今の職場をやめるとなると、いつ決まるかわからない状況で転職活動を続けなければならなくなり、生活が立ち行かなくなるプレッシャーとも戦わなければならない。
それに、退職してからの次に就職するまでの間が開いてしまうと、職歴上マイナスポイントになってしまうので、できればあまり期間を開けずに転職したいというのもある。
色々と悩んでいたぼくは、そのことを先輩に相談することにした。
すると先輩は、ひとつアドバイスをしてくれた。
それは、勤務先を病気で休職し、傷病手当を受給すれば、収入を得ながら転職活動を行うことができるというものだった。
傷病手当金って?
そもそも、傷病手当とはどのようなものだろう。
ぼく自身もその時、初めて知った制度だった。
傷病手当は、会社などで加入させられている健康保険に付いている保障制度で、健康保険に加入していれば誰でも利用することができる。
加入者は、病気やケガで会社を休んで給料が受けられなくなった時に、給料の代わりとして健康保険から一時的にお金を支給してもらうことができる。
支給の条件
具体的な支給の条件は以下の通りだ。
・業務外の病気やケガによる休業
・そのせいで仕事に就くことができない
・4日以上仕事に就けなかった
・その間給与の支払いがない
「業務外の病気やケガによる休業」というのがポイントで、仕事とは関係なく病気になった場合でもちゃんと支給の対象となる。
支給される期間
支給される期間は最大で1年6ヶ月までと決められている。
ただし、これとは別に定められた、会社側の休職期間というのがある。
実際にはそっちの休職期間の上限の方が短い場合が多い。
会社の就労規則などがあれば、それをチェックしてみよう。
ちなみにぼくの会社の場合は6ヶ月と決められていた。
なのでこの場合使える期間は、最大で6ヶ月となる。
支給される金額
支給される金額は、ざっくり言うと直近でもらっていた給料の額の3分の2が受け取れることになる。
収入は少し減るが、それでも休職しながらそれだけの収入が得られるのは大きい。
傷病手当をもらいながら転職活動をする方法
心療内科の受診と診断書
まずは、心療内科に通う。
これは転職活動を始める1、2ヶ月前からやっておく。
1〜2週間おきに心療内科に行ってうつ病の症状を訴える。
具体的には、夜眠れない、食事が喉を通らない、外出しようとすると苦しくなるなどの症状を訴える。
これらは症状は、自覚症状のみなので嘘か本当かを判断するすべはない。
何度か通ったら、うつ病で休職する診断書を書いてもらう。
「症状が改善せずに休職することにしたので、診断書を書いてください」という感じでお願いすればいいだろう。
ここまで出来たら、勤務先に病気の療養のため休職したい旨を伝え、休職期間に入る。
この時、改めて会社の休職期間の規定などを確認しておこう。
傷病手当給付金の受給の手続き
健康保険組合のホームページから傷病手当給付金の受給申請書をダウンロードして印刷し、必要事項を記入する。
受給申請書には、主治医の所見欄があるので、病院にお願いして記入してもらう必要がある。
書類がそろったら、勤務先に受給申請書を送付して会社から受給申請してもらう。
以上で、受給の手続きは完了だ。
休職中で給料が支払われていない状況であれば、確実に手続きは通るはずだ。
転職活動
転職活動は、普通に行なって問題ない。
履歴書・職務経歴書には、現在も就業中としておく。
もちろん、休職中の理由は、プライバシーに関わることなので外部に伝わることはない。
この間、時間がフリーになっているので、転職活動のための情報収集や、面接などに多くの時間を割くことができる。
内定後の手続き
無事に面接もクリアして、内定が決まれば入社日の調整となる。
できれば、入社日は1〜2週間程度先にしてもらうといいだろう。
理由は、現職の退職手続きや引き継ぎ、有給の消化などがあると説明すればいい。
あとは、入社日までの間に、勤務先に退職をする旨を伝え、傷病手当の給付も終了させる。
まとめ
以上が、ぼくが先輩から教えてもらった方法の全てだ。
うつ病の診断をもらうのは、意外と簡単だった。
おそらく、同様の症状を訴える人は少なくないのだろう。
手続きもそれほど難しいことはない。
この一連の流れで、ハードルがあるとしたら勤務先が休職という扱いをとってくれるか、ということと、傷病手当の受給申請をスムーズに健康保険組合に回してくれるかというところだろう。
ある程度大きいまともな会社であれば、何も言わなくてもスムーズに手続きが進むと思う。
ただし、総務が女子社員一人みたいな小さい職場だと、色々と説明しないと手続きがなかなか進まないという場合もあるかもしれない。
また、傷病手当の受給自体は、保険加入者の権利なので問題はないが、転職先の会社に対して、健康に問題なしと伝えていると矛盾が生じることから注意が必要だ。
フリーな時間が多かったことから、転職活動自体はとてもやりやすかった。
ぼくの場合は、はじめて転職エージェントを使って転職活動をしたけど、担当者が付いて就職活動についてあれこれ相談に乗ってくれるのでとても心強かった。
転職を検討しているのであれば、まずは転職エージェントへの登録をおすすめする。
私もこの方法を使って資格取得のためのスクールに半年間通おうと思っています。
ただ、うつ病の診断がつくと生命保険に入ることが難しくなる等のデメリットもあるため
安易に人には勧められないとも思いました。
たしかにデメリットにも目を向けるべきでしょうね。
ただ、近々で生命保険に加入する予定があるなら先に加入しておくのがいいかもですね。
エージェントには、休職していることは話しましたか?エージェントから、うつ状態や休職状態を転職先に伝えることはないですか?
僕は、病気のことや休職のことをエージェントには言ってませんでした。
普通に「現職の会社に勤務中」と伝えていました。
実際に今の職場に籍があるのは確かですし、フルタイムで勤務しているか、休みを取っているかまではエージェントも確認はしませんし。
同じ状態で今月初旬より1か月休職中です。現在の職場は4月から入職しており有休等はありません。転職活動したく、ですが9月採用は急過ぎて難しそうなので10月スタートの予定で活動しようとしています。その場合は、もう1か月休職期間を延ばしてもらい、9月中に転職活動するべきですか?そして履歴書や、面接時は9月の月末に退職予定と発言しても大丈夫でしょうか?
休職期間を延ばして貰えそうなら伸ばしてもらった方がいいと思います。
じっくり時間をかけて転職活動ができるのが、この方法のいいところなので。
エージェントや転職先には、9月末で退職予定と伝えてしまって問題ないと思いますよ。
傷病手当の受給自体は、保険加入者の権利なので問題はないが、転職先の会社に対して、健康に問題なしと伝えていると矛盾が生じることから注意が必要だ。
とありますが、転職先に傷病手当を受給している事が発覚するということでしょうか?
いえ、どちらかと言うと、病院を受診したりしながらの転職活動なので、転職先に「健康です」といいつつ病院へ通っているのがバレると矛盾するので、注意が必要ですという意味です。
転職先から内定時などに直近3ヶ月の給与明細を求められ、休職中だと給与明細が無いもしくは額が変なのでそこでバレるという事はなかったのでしょうか?
僕の場合は給与明細の提出が不要だったので特に問題はなかったです。
でも確かに給与明細の提出を要求する会社もあるので、その場合は転職活動に向け休業中とでも言っておいた方がいいかもですね。
給与明細については、休業に入る前のものを出せばいいでしょうし。
はじめまして。
同じようなやり方をしようと考えていたのですが、休職→退職後すぐ(1.2週間後ぐらい)に転職先に入社しても、傷病手当金の振り込みはされますか?書類を提出して、会社側がしっかり郵送してくれるか心配です。
はじめまして。
同じことを考えていたのですが、2ヵ月休職→すぐ入社(退職して1.2週間後ぐらい)で傷病手当金は問題なく受け取れるのでしょうか?退職後も会社がしっかり郵送してくれるか不安です…。
2ヶ月休職なら大丈夫と思いますよ。
規定では4日以上の欠勤で支給されるので。
ただ初回の支給日まで申請から1ヶ月くらい掛かるので、休職入ったら早めに申請しておいた方がいいかもですね。
前職の郵送云々についてはどちらかというと退職前に手続済ましておく感じのイメージかと。