転職の35歳限界説という言葉を知ったのは、わたしが既に35歳を越えてアラフォーへと差し掛かるころだった。
特に女性だと、出産や育児などの人生のイベントがちょうどそのくらいに重なってくるので、会社に残るにしても、転職するにしてもキャリアアップが難しくなると言われている。
かく言うわたしも、出産、育児、転職を経験してその難しさを感じた一人だと思う。
29歳のときに20代ギリギリで結婚。
その後、新婚生活を楽しむ暇もなく仕事に追われ、ようやく35歳の頃に出産を意識しだす。
不妊治療をはじめて、第一子を出産したのが37歳のときだった。
一旦育休には入ったものの、とても出産前のように残業やら休日出勤やらに対応できるとは思えず転職を決意する。
そのときの経験を元に、わたしが感じた、アラフォー子持ちの転職の難しさ、転職活動を通じて失敗した点や良かった点、そしてどうやって希望する条件の職場に再就職を果たすことができたか、などをまとめていきたいと思う。
なぜ38歳子持ちだと、転職が難しいのか?
言わずもがなだが、アラフォーで子持ちだと、20代前半の自由だった頃にくらべて転職や再就職が難しい。
特に何が問題になるかと言えば、以下のような点だろう。
・年齢の問題
・残業や急な休みなど育児と仕事のバランスの問題
・その後のキャリアの問題
年齢の問題
転職活動を通して感じたのは、どこの企業も20代くらいの若い人材を探しているということ。
実際に、応募をして断られた理由を教えてくれた企業の担当者さんも、不採用の理由として年齢をあげていた。
20代といっても新卒とかではなく、20代後半〜30代前半くらいでちょうど社会経験もある程度積んで、これからバリバリ働きます。というところが人気のようだ。
特に簡単な事務仕事とかであれば、なおさら若くて扱いやすくて給料も安く済む女性しかとってくれない。
転職活動をする前からそうであろうということは想像してはいたが、実際にやってみて想像以上だと強く感じた。
残業や急な休みなど育児と仕事のバランスの問題
子供が出来てみてわかったことは、生まれたばかりの子供は、か弱い存在でいつでも親がついていてあげないといけないということ。
保育園に預けることはできるけど、急に熱をだしたとか、風邪を引いたとかしたら親がつきっきりで看病しなければならない。
両親や兄弟が近くにいて、急なトラブルでも対処してくれるならなんとかなるかもしれないが、うち場合両親は遠方でそれも見込めない。
仮に、両親が見てくれたとして、子供が熱を出して苦しんでるときに、残業だ休日出勤だとなっても落ち着いて仕事してられるとは思えない。
それでも、会社からすると生活より仕事を優先する人材を求めている実態もある。
「急な残業や出張にも柔軟に対応できて、なにより仕事を最優先でこなせる人材」
ワークライフバランスだなんだと言われてはいるが、そう言う人材がほしいとい考えている会社がまだまだ多いというの実感だ。
その後のキャリアの問題
選ばなければ仕事があるとは言うが、そうなってくると就ける仕事も限られてくる。
それでも40代のうちはまだいいかもしれないが、そこからさらに50代になったときに転職しようといっても、転職できるようなキャリアにはなっていないだろう。
そこで詰みだ。
その先できる仕事といえばライン工とか、レジ打ちとかそんなもんだろう。
できれば65歳で定年を迎えて年金生活に入るまで働くには、それなりの仕事を続けてキャリアを積んで置く必要があると考えた。
しかし、アラフォーで転職となると、ここから未経験の職種で新たなキャリアを作って行くのは難しい。
いくらやる気があるといっても、採用してくれる職場がないのだ。
転職活動開始!
改めてこう見てみると、自分でもよく諦めずに続けられたなと思うような絶望的な状況だったと思う。
でも不思議と不安やネガティブな感情はなくて、むしろこれをキッカケに新たな経験ができるというワクワク感の方が強かった。
前職では、色々あって鬱憤が溜まっていたというか、そこから抜け出して新たな道に進めるというのが単純に嬉しくて、気持ちがポジティブになっていたのかもしれない。
今思えば、こういう気持ちの持ちよう一つでも就職活動の成否に大きな影響を与えると思う。
ここからは、わたしが、具体的にどのように転職活動を行ったか、良かった点、悪かった点なども合わせて紹介して行こうと思う。
ハローワーク
まず、わたしが赴いたのがハローワーク。
近所には、マザーズハローワークという女性が子育てしながら働くのを支援するハローワークがあって、ここへ相談に行くことにした。
正直あまり期待してはいなかったが、なにせ転職転職活動自体はじめて、10年数年前に就活していた時とは状況がまるっきりちがう。
まずは、色々と情報を集める目的もあり足を運んで見ることにした。
ハローワークの求人
窓口で相談にきた旨を伝えると、しばらく待たされたのち一人の年配の女性相談員さんが対応してくれることになった。
相談員さんは3名しかおらず、タイミングが悪いとかなり待たされるらしい。
わたしの担当の相談員さんは少しおっとりした優しげな感じの女性相談員さんで、親身になって相談に乗ってくれてる感じが好印象だった。
自分の職務経験や、転職の事情や、家庭の事情などを一通り説明すると、色々とパソコンに入力していって求人を調べてくれる。
そこで出てきた求人はこんな感じ。
・時給800円の事務
・スーパーのレジ
・工場のライン工
それまで説明してきた職務経験の話とか、職業スキルとか一切関係なかったw
というか全部アルバイトだし!
ハローワークで仕事を探している人の人物像
ハローワークへきた理由の一つには、世のお母さん方が、どんな条件の仕事をさがしていて、そこへ企業側がどんな求人を出しているのかを知りたかったからだ。
相談員さんも言っていたが、ここへくる人の多くは、キャリアプランなどはあまり考えていなくて、どちらかといえば育児や家事を優先して、可能な範囲の時間で仕事をして、少しでもいいからお金を稼ぎたいという考えの人が多いようだ。
何かあったらすぐに自宅に戻れるように地域内の職場で、かつ短時間の勤務でも雇ってもらえるような職種を希望しているという人が多いらしい。
わたしが考えていたのは、その先転職する場合でもある程度有利になるようなスキルなりキャリアなりが、身につけられるような職種だった。
また、できれば時給制のアルバイトとかじゃなく、正社員でと考えていたので、ここにある求人はちょっと違うかなということでハローワークを後にした。
転職エージェントという選択肢
やっぱり転職のプロにお願いするべきだと考えて、転職エージェントへ登録してみることにした。
転職エージェントとは、エージェントと呼ばれる担当者がついてくれて、転職活動をサポートしてくれるサービスだ。
求人の紹介はもちろんのこと、履歴書や職務経歴書の作成や、模擬面談による面接の練習などを通して、就活のプロの目から見てアドバイスやサポートをもらうことが出来る。
また、転職エージェントは民間会社のサービスでありながら無料なのもありがたい。
彼らは、企業への紹介料で食っているので、転職活動している私たちは一銭もお金を払う必要がない。
しかも、彼らもわたしの転職が成功して初めて報酬が入るので、なんとか就職させようと頑張ってくれる。
この辺が、ただ求人を紹介するだけのハローワークとの違いだろう。
転職エージェントとの面談
転職エージェントに登録すると、さっそく担当者から連絡があった。
面談をお願いすることになり、直近の日程でオフィスのある丸の内へと足を運んだ。
昼間の丸の内は、これぞ日本のビジネス街という感じで圧倒されまくりだったが、自分が知らない世界を垣間見れた感じがしてそれはちょっと楽しかった。
担当者は、想像と違っておっとりした30代前半くらいの女性。
丸の内の人材業大手で働くOLなんて、バリバリのキャリアウーマンみたいなのを想像してたからちょっと想像違った。
彼女も、若い頃は残業をものともせずバリバリ働いていたらしいが、結婚と出産を機に働き方を緩やかなペースに変えたらしい。
この辺の経緯は、私とも通じるものがあって参考にさせてもらいたいと思った。
彼女自身の経験もあって、この面談では色々と役に立つ助言をもらうことができた。
そして、自分自身が目指す方向性もこの面談で方向付けられた。
38歳子持ちのアラフォー大人女子が考える転職先の条件
厳しい条件だというのはわかっていたが、ここで妥協してしまうと結局またすぐ転職することにもなりかねない。
最低限死守したいラインを明確にして、その上で妥協してもいい条件を出していって、条件の優先順位付をしていく。
そのような条件をエージェントさんとも相談していくことで、狙うべき転職先の候補が見えてきた。
この他にも細かい希望は色々とあるが、特に私が重視したポイントは以下のとおり。
上から順に重要で、この条件に当てはまれば、当てはまるほど良い。
仕事の内容や、家からの距離などについても希望はあるのだが、その辺は妥協して判断基準から外した。
人数の多い職場
まず、絶対的な条件として、社員数が多い職場というのがあげられる。
なぜかと言えば、人数の少ない職場は代わりが効き辛いので、急な家庭の事情などで休みをとったりしづらくなるからだ。
また、このような職場には、同じような子育て中のママさんが多い傾向があり、お互いフォローしながら仕事をしたり、家庭の都合などに対する理解がある場合が多い。
残業が少ない
次に、定時上がりが慣習化している職場だ。
これは、言わずもがなだが残業が状態化しているような職場だと、家庭のつとめの予定が立てられないし、子供の世話もできなくなってしまう。
仮に残業しなくてもいいと言われていたとしても、周りが残業するのが当たり前という風土の職場だと自分も帰りづらい。
そうならない為にも、風土として定時上がりや銀行タイムが慣習化している職場が理想的だ。
そんな公務員みたいな職場なかなかないのだが、念のため聞いてみると、以下のような職種が比較的該当すると教えてもらえた。
・開業医の事務
・公的な協会の事務など団体職員
・非営利団体の事務
・製造業の工場勤務
・建築関係
産休・育休制度がちゃんと機能している職場
産休とか育休は義務としてちゃんと取得できるものなのだけど、やっぱり職場によっては取りづらいというケースも少なくない。
場合によっては、産休に入ったはいいけど、その後元のポジションに復帰できない場合なんかもある。
そういった意味でも、育休・産休を取得したことがある社員さんがすでにいて、かつ産休が明けても問題なく職場復帰できたケースがあると望ましい。
それが、職場の育児に対する理解度のバロメーターになると考えたからだ。
ざっくりだが、エージェント担当さんとの作戦会議で、概ね以上のような方向性が示された。
もちろん、これ全てをバッチリ満たす物件があればベストなんだけど、なかなかそうは行かないことはわかっている。
あくまで判断基準として持って、出来るだけこの条件に近づけていくのが目的だ。
転職活動の成果
ここからの基本的な流れは、気になる求人に応募を出して、書類選考に通れば面接、面接に通れば内定となる。
良い条件のところが見つかるまでこれをひたすら繰り返す。
私の場合は、転職エージェントに2社登録して、その他に転職サイトにも登録していた。
結果としては、転職サイトは8件応募して7件書類選考で落選。
1件面接まで行ったが、条件が希望するものとだいぶ差があったので辞退させて頂いた。
転職エージェントは、2社合わせて15件の求人に応募して結果2件の内定を取ることができた。
こちらの都合で辞退させてもらったものもあったので、ストライクゾーンをもう少し広げれば選択肢は増えていたと思う。
某大手転職サイトの情報によれば、内定を一つ取るまでの応募数の平均は80件くらいということらしい。
今回は、15件の応募で2件の内定なので、それだけでも転職エージェントが、効率よく就活できることがわかった。
不特定多数の応募と求人が集まりやすい転職サイトでは、それだけミスマッチも多いということだろう。
私の場合、やみくもに応募しまくるのではなくて、ある程度マトを絞って狙っていく戦略にしたのがよかったのだと思う。
転職エージェント経由のこの2件の内定のうちの一つの案件に決めさせてもらった。
希望していた通り、人数が多い1000人規模の職場で、女性社員も多く育児には理解がある職場なのが決めてとなった。
それに、少しではあるが給料も増えた。
転職エージェントさんが、交渉をしてくれたのでこれはとても助かった。
だってなかなか面と向かって給料あげてくれって言いづらいじゃない?
しかも、給料って後から上げてもらうのって難しいので、やっぱり就活の段階でできる限り交渉しておく方がいいと思う。
ここまでで転職の活動をはじめてから2ヶ月弱ぐらいが掛かった。
その間、子供の世話などもしつつだったので独り身とかであれば1ヶ月もあれば十分終えられると思う。
総括
ハローワークは、地元に密着してる求人が多い感じがした。
とにかくバイトでもいいから近くで働きたいというのであればいいと思う。
ブラックな案件も少なくないと聞くので注意はした方がいいと思う
転職サイトは、案件数は多いがその中で自分にあったものにたどり着くまでは、時間がかかる。
じっくり時間をかけて、根気強く活動を続けるのであればいい方法だと思う。
転職エージェントは、実際に会って相談に乗ってもらうことも出来るし、エージェント経由でしか求人しない企業などもあるので質の高い求人が集まりやすいと感じた。
あと、転職活動を通して思ったのは、自分の希望を曖昧にしておくのはよくないなということ。
自分自身がどんな職場で働くことを希望しているのか、また仕事と家庭とどんなバランスで生活したいのかなど、まずは自分自身の希望を明確にすることが大事だと思う。
今回、私の場合は、育児というどうしても譲れない条件があっただけに、妥協せずに転職活動を続けられた。
もしそういう事情がなければ、適当なところで妥協して、納得しきれない条件の職場に就いていた可能性もある。
出来る出来ないは別にしてもまずは、自分の都合をはっきりと形にして企業側にも伝えていくことが重要だろう。
そのためにも、転職エージェントなど間に立ってくれて、相談に乗ってもらえる存在をうまく使うことおおすすめする。