55歳で突然の解雇と転職活動の記録

55歳解雇
※この記事には一部広告が含まれます。

年末も差し迫ったある日、
人生の転機が訪れた。

私を含む社員三名が役員会議室に呼び出されたのだ。

会議室には、社長と取締役が待っていた。

用件はこうだ。
「会社の業績が思わしくない。人員の整理をせざるを得ない。
申し訳ないが、君たち3名は退職してもらいたい。」

解雇通告だった。
私は、クビになったのである。

奇しくもこの日、私は55歳の誕生日を迎えていた。

解雇通告

3名のうちの一人は、30台前半の若い社員だ。

「わかりました」
と一言いって、会議室を出て行った。

いやにアッサリと引き下がったと思ったが、その後、弁護士を介して不服の申し立てをしたことを聞かされた。

もう一人は30台後半。
結婚していて子供もまだ小さい。

納得いかなかったのか、なんで私が・・・とか、せめて来年の春までは・・・とか、どこか他を紹介出来ませんか・・・とか、話し合いの声が聞こえてくる。

私は、驚くほど冷静で、頭の中で必要な手続きについて考えていた。

「すぐに転職活動を始めたいので、離職票と、雇用保険被保険者証を出してもらえますか?」

「総務に用意させておく」

その他2点3点、退職手続きについて確認して会議室を後にした。

解雇された後の心境

なぜ、とっさに退職資料のことが出たかと言えば、以前退職を考えたことがあったからだ。

色々調べていて、この書類の発行が遅れて雇用保険の手続きが遅れたという話をどこかで読んで、それを思い出したのだった。

どうせ辞めたいと思っていたのもあったので、ある程度冷静に対処できたのかもしれない。

いや。
冷静だ、冷静だと思ってはいたけど、本当はそうじゃなかった。
本当は、突然のことに思考が麻痺していたにすぎなかったのかもしれない。

会社帰りで一人になると、実感が湧いてきて、解雇された会社に対する怒りや不満、これからの生活に対する不安がふつふつと湧いてきた。

もちろん、辞めたいとは思ってはいたが、自分で辞めるのと、辞めさせられるのとでは意味が全然違う。

自分で辞める場合なら事前に転職活動など、ある程度準備が出来たはずだ。

今更ながら、考えていただけで何も行動に移せなかったことに後悔の念が湧いてきた。

解雇されたことを妻に告げる

帰って、妻に解雇されたことを告げた。
妻は、慌てた風でもなく、楽観的な様子だった。

私が、今の会社に嫌々勤めていたことは、なんとなく感じていたらしい。
転職するなら、いい機会かもしれないと言ってくれた。

気遣ってそうしてくれたのかもしれないが、妻の態度に少し救われて気がした。

退職書類はなかなか揃わない

退職のとき会社からもらう書類は以下の通りだ。

・離職票1、2
・雇用保険被保険者証
・健康保険資格喪失証明書
・源泉徴収票
・最後の給与明細票

源泉徴収票や、給与明細は通常業務のことなのでスムーズに受け取ることができるかと思う。
しかし、離職票や健康保険資格喪失証明書は、普段退職の手続きに慣れていない小さい会社などだと、発行に手間取ることが多い。

離職票や雇用保険被保険者証は、失業保険の給付を受けるのにハローワークで必要になるので、必ず手に入れておきたい。

私も、退職勧告を受けた時に、社長に約束をしておいたのだが、案の定、連絡が取れておらず、改めて総務の担当者と電話でやり取りをしてやっと発行してもらうことができた。

クビになった後に、会社の社員と接するのはあまり気持ちがいいものでは無い。

このくらいのことは、黙っていても用意してもらいたいものだ。

雇用保険(失業保険)の申請について

雇用保険とは、失業時した場合、転職活動中の生活費として、お金が支給される制度だ。

雇用保険の給付額(失業給付)は、会社都合と自己都合で変わってくる、会社都合の方が長い期間、多い金額の給付を受けられる。

私の場合は、日額6,000円くらいの給付を最大270日受けられる。

ざっくり計算で言えば、毎月17万円くらいの給付を、最大9ヶ月間受けられる計算になる。

雇用保険は、働いている時、給料から天引きされ保険料を支払われている。
会社員であれば、原則加入が義務付けられているので、退職した際は必ず確認をした方がいい。

この雇用保険の手続きと、転職活動のためにハローワークへと行った。

申請時に必要な書類は、事前にインターネットで調べておいた。
特に初めの2つは、前職の会社から発行してもらわないといけないので、できるだけ早めにお願いしておく必要がある。

・離職票1、2
・雇用保険被保険者証
・自分の写真2枚
・身分証明書(運転免許証など)
・通帳(失業保険の振込先)

ハローワークの職員は、皆とても親切だった。

後から知ったのだけど、とりあえず離職票だけを持ってハローワークへいけば、あとは必要な物を色々教えてくれるので、手続きが心配な人はその方がいいかもしれない。

ハローワークで仕事探し

求人の検索

ハローワークでの職探しは、まずパソコンを使っての求人検索を行う。
応募したい求人があれば、求人票を持って受付に紹介をお願いする。

一つ気になった求人があったので、紹介してもらうことにした。
以前、やっていたのと同じ職種の求人だ。

応募者数の確認

係員にお願いすると、応募者数の状況を教えてくれた。
既にハローワークから20名以上の応募があるらしい。

この時点で狭き門のようだ。

会社へ電話確認をしてもらう

55歳という自分の年齢のことも気になったので、係員に相談すると電話で先方へ確認してくれることになった。

先方の担当者と電話で、住んでいる場所や、経験者であることなどと共に、年齢のことを話している。
あまり良い反応ではないことが、係員の電話越しでもなんとなくわかった。

ハローワーク係員
「重い荷物を持つこともあるし、もう少し若い人を探しているらしいです。」


「そうですか。
じゃあ辞めておきます。」

当たり前のことではあるが、改めて年齢のハンデキャップがあることを思い知らされた。

紹介状を作ってもらう

ハローワークの求人では、求人票でOKと書かれていても、電話確認するとダメなパターンが少なく無い。
※この件については、以下の項目に改めて記す。

ここでOKだったら、ハローワークの係員に紹介状を作ってもらい応募をする。

書類選考・面接

書類選考がある会社の場合は、紹介状、履歴書、職務経歴書を郵送して応募する。

直接、面接というケースも多い。

その場合は、面接の日程を調整してもらい、紹介状を持って面接へ行く。

年齢不問や、性別不問と書かれているが。。。

ハローワークで求職活動をしてると、ぶち当たる壁がある。

年齢不問や、性別不問と書かれているが実際応募してみると、年齢や性別を理由に断られることがある、ということだ。

男女雇用機会均等法というのがあり、求人に男性が欲しい、女性が欲しいとはかけない決まりになっているらしい。

なんでこんな法律があるのかわからないが、求人では「不問」と書かれていても、年齢・性別が希望に合わなければ、結局は、書類選考や面接で落とされることになる。

はじめからそう書いてある方が、無駄が省けていいんじゃないかというのは、みんなが思っていることだろう。

求人側も、当然それがわかっていて、暗に年齢や性別の条件を記載する方法が取られる。

例えば、トイレ清掃のある仕事は、100%女性が採用される。

理由は簡単で、女子トイレを男性清掃員が清掃するのは問題あるが、女性清掃員が男性トイレを清掃することは問題ないからだ。

トイレ清掃に男性清掃員を雇ってしまうと、男性トイレしか掃除出来ないことになってしまう。

そのため、求人票にはこう書かれている。

「女子トイレ清掃あります。」

これで、男性の応募はほぼなくなるということらしい。

また、似たようなものに、

「重量荷物の運搬あり」

というのがある。

これは逆に、暗に男性社員を募集していることを示すものだ。

このような求人の文脈が、読み取れるようになってくると、就職活動の効率も上がってくる。

そもそもそんな法律は、無くせばいいと思うが。。。

ハローワークの紹介で集団面接

守衛の仕事(機械部品製造工場)の面接に行ってきた。
定年60歳 再雇用65歳で、賞与もあるらしい。

面接会場は、ハローワークの会場で集団面接が行われる。

はじめに、面接官より、仕事の内容が説明される。

2交代で12時間づつ、工場入り口の入室退室の管理や、電話対応などが主な仕事となる。

会場には10名ほどの応募者が集まっていて、5名づつの集団での面接となる。

面接官は2名いて、それぞれ質問をしてくる。

「はじめに、自己紹介と職歴、自己PRをお願いします。」

自己PRは、いつも何を言えばいいのか困る。
正直、条件の良い仕事であればなんでもいいとは言えない。

私は、倉庫で商品管理の仕事をしていたことがあって、夜間や休日の仕事もしていたので、その経験が活かせると思うということを話した。

そのあと、面接官による質問がいくつかあった。

「屋外の見回りもあります。冬は寒いですが大丈夫ですか?」
「通勤時間1時間以上かかるようですが、大丈夫ですか?」
「土日祝日の出勤もありますが、家族の理解は得られますか?」

質問というか、キツイけど続けられるかか?ということを、念を押して確認されている感じ。
採用してからすぐにやめる人も居ると聞くので、そうならないための確認なんだろう。

実際、この仕事は2交代12時間勤務で、拘束時間は長い。
もちろん休憩はある程度取れるが、そこそこの長丁場になるのは間違いない。

「もし辞退される方は、×月×日までに、総務までご連絡ください。」

最後に、こう締めくくられ面接は終わった。
やる気が無い人はここでふるいにかけたいという考えなのだろう。

辞退するつもりはなかったが、正直あまり気が乗らない仕事ではあった。
心配するまでもなく案の定、結果は不採用だったのだが。。。

残念のような、ホッとしたような複雑な心境だ。

転職サイトとハローワーク

ハローワーク以外にも、インターネットの転職サイトの求人も片っ端から確認した。

転職サイトとは、リクナビやマイナビに代表される転職情報サイトのことだ。

ハローワークと何が違うのかというと、正直55歳の私の場合、ハローワークの求人も、転職サイトの求人も大差ないというのが正直な印象だ。

これはどこでも同じだけど、30歳以下の若手向けの求人がほとんどで、55歳で定年間近となると、求人は限られてくる。

転職サイトも、しばらく使ってみるとどういう仕組みか見えてくる。

転職サイトに登録すると、オファーがくることがある。
さも求められて居る人材ですって感じで、オファーの案内が送られてくるが、実際は転職サイト側がサイト内の求人を適当におくっているだけ。

鵜呑みにしてエントリーしても、結局は通常の応募をして会社側と直接やりとりをすることに変わりはない。

しかも、応募者はオファーを受けてるって勘違いが入ってくるので、面接でも噛み合わないことがしばしば。。。

それでも、転職サイトは面接までこぎつけられれば、あとは関係ないので、強引に応募を取ろうとする。

20代や第二新卒などの若手であれば、それでもいいのかもしれないが、私のような高齢な求職者には、向かない仕組みと思った。

コメントを残す