いざ入社してみると求人情報に記載されていた内容と実際の労働条件で違っていることがあるようです。
例えば求人に時給1,200円と書いてあったのに、働き始めたら時給が1,000円だったということがあります。
この場合、会社に対してどのような対応をとれば良いのでしょうか。
求人内容と実際の労働条件が違った場合の対応は?
ここで以下の3つのポイントが重要となります。
- 会社の労働条件の明示
- 求人情報は労働契約の内容といえる場合もある
- 求人情報と大きく労働条件が異なる場合は差額の請求ができる
会社は求人情報でもきちんとした労働条件を明示する必要があります。
応募者ときちんと契約を交わしていないため、確定した内容でなくても、それが労働契約となる場合もあります。
また、求人情報に記載してある内容と労働条件が大きく違っていた場合、差額を請求できることもあります。
では、様々な観点から考えてみましょう。
募集の際に労働条件がちゃんと提示されていたか
会社はハローワークなどで労働者の募集をする際、労働条件を明示する義務があります。
職業安定法が改正され、労働者の募集や求人等について、労働条件等の明示義務、遵守すべき事項の明確化が行われています。
明示しなければならない労働条件とは主に以下のようなものです。
- 業務内容
- 契約期間(派遣等決められた期間がある場合)
- 就業場所
- 労働時間
- 賃金
- 社会保険、労災保険など
- 試用期間の有無など
- 求人者の氏名又は名称
- 労働時間に関し、裁量労働制(労働時間と成果や業績が必ずしも連動しない職種において採用されている制度)が適用される場合はその旨を明示
- 賃金に残業代についての事項が含まれること
- 試用期間があれば、その労働条件が本採用後の労働条件と異なる場合、それぞれの労働条件を明示
募集時点では、賃金は見込み額でも良いことになっています。
採用時に確定的なものを明示する必要があります。
また、求人情報と実際の労働条件が異なっていた場合、応募者には面談の時などに、その内容をはっきりと伝えることが義務付けられています。
求人情報は法的な決まりはないのか
求人情報に記載されている内容はあくまでも見込みです。
100%確定している内容ではありません。
ですから少々違っていても法的に問題はありませんが、時にはそれが労働契約の内容になる場合もあります。
応募者は求人内容を細かく見ています。
特に時給等条件が良い場合には期待しており、その条件で契約するわけですから、差額が生じれば憤りを感じます。
もし、求人情報より著しく賃金が下回る場合、慰謝料が認められる場合があります。
ですから会社側は見込み額とはいえ、求人情報より実際の賃金が大きく下回るような決定をしてはならないのです。
入社後に労働条件に違いがあった場合
働き始めてから、労働条件の違いがあった場合、会社に対して差額を請求することができます。
実際に差額を請求して裁判で認められた例もあります。
ただ、事前に求人票よりも賃金が下がると言われていた場合は認められません。
具体的には、労働条件に相違があった場合は以下のような対応をするのが良いでしょう。
- 会社と話し合う
まずは上司に相談してみましょう。社長や役員に求人通りの労働条件にしてもらえるか交渉してくれるかもしれません。求人票のコピーがあるとその際役立ちます。 - 労働局や労働基準監督署に相談する
会社が話し合いに応じてくれなければ、各地域の労働局や労働基準監督署などに設置されている総合労働相談コーナーに相談してみましょう。労働に関する様々な相談にのってもらうことができます。