私は、新卒で就職した企業に3年半ほど勤めたのですが、先日退職して、新しい職場へ転職をしました。
転職自体初めての経験だったのですが、その時、はじめて職業訓練の制度を利用しました。
職業訓練のことを知ったのは、まだ前職に勤務している時のことで、仲の良かったパートさんに辞めることを相談したとき、職業訓練を勧めてもらいました。
「まだ若いんだから、職業訓練でも受けて新しい仕事にチャレンジしてみたら?」
その人は、そう言ってくれました。
私はその時、まだ職業訓練というものを知らず「何、それ?」という感じだったんですが、調べてみると就職に必要な知識やスキルを無料で習得することのできる公的な制度ということが分かりました。
職業訓練は、失業者、求職者向けの訓練で、職種によっていろんな講座が用意されています。
私の目指す事務の講座もあったので、今後の仕事に役立ちそうだと思いチャレンジすることにしました。
今回は、これから職業訓練の受講を考えている方のために、その時の経験や利用してみた感想、手続きの流れや、気になる給付金についてなどを詳しく解説していきたいと思います。
職業訓練の申し込みと雇用保険について
職業訓練はハローワークを通して申込みできます。
職業訓練を受けるなら、まずはハローワークカードを作りましょう。
ハローワークの受付で案内しています。
また、職業訓練についても受付で教えてくれます。
基本的にそれぞれ専用の相談窓口があるので、そこに行って手続きをします。
職業訓練の受講内容は地域によって違うため、希望するものがあるか確認してみるといいでしょう。
無料で再就職に向けてのスキルをみがくことができ、訓練に通っている間は、雇用保険(失業中にもらえる手当)や通所手当(定期代など)も支給されます。
私が支払ったのはテキスト代や資格試験の受験料くらいです。
自己都合での退職は、3ヶ月の待機期間を過ぎてから雇用保険がもらえます。
しかし、職業訓練校に通う場合、その待機期間を前倒しして、訓練に通い出したその日から雇用保険が支給されるようになります。
3ヶ月無職でいるより、訓練校に通ったほうがスキルアップができてお金ももらえるので時間が無駄になりません。
訓練は3ヶ月くらいの短いコースから、1年以上通う長いコースもあります。
そして雇用保険の受給資格があるかないかで受講できるコースも違います。
雇用保険受給資格がある人が、雇用保険受給資格の無い人向けのコースを受ける事も出来ますが、もらえる手当てなどのメリットを考えると、やはり雇用保険受給資格者向けの訓練を受けたほうが得です。
前職場に1年以上勤務していて、会社が雇用保険を掛けていれば受給資格はあるはずです。
求人ニーズのある訓練コースを選ぶ
私は営業の仕事をしていたのですが、とある理由から事務への転職を考えていたので、事務系の職業訓練を受けることにしました。
ハローワークの窓口で事務系の職業訓練について尋ねると、今年は予算の関係で事務系の職業訓練はないということが判明しました。
これも地域で違うようです。
私は地方なので職業訓練の種類も実施数も少ないようです。
タイミングや運で受けられるかどうか決まります。
また、予め自分の行きたい職業訓練があればそれに合わせて仕事を辞めて訓練校に応募するなど調整が必要です。
もっと大都市や首都圏であれば、職業訓練の種類も豊富に実施されているかもしれません。
自分の住んでいる地域をまずは調べてみるのが良いいと思います。
職業訓練は無料で受けられるうえ、お金をもらいながら勉強が出来る制度なので、是非利用して今後の転職に活かしてください。
友人でも職業訓練を受けたという話も聞きましたが、友人とその訓練を一緒に受けた人のほとんどが、学んだことに関連する仕事には就けなかったそうです。
自分の学びたいことを選ぶのはもちろんですが、ニーズがある職業への転職を見据えて、通いたい職業訓練のコースを選ぶことが重要だと思います。
雇用保険の受給資格証が必要
また、雇用保険の受給資格が無いと職業訓練は受けられません。
雇用保険の受給には、離職票が必要です。
離職票は前の会社からもらえます。
早ければ退職日の翌日に発行してもらえますが1ヶ月以内には発行してもらえます。
そして訓練が始まる日までに、雇用保険の手続きが完了していないと訓練に通うことはできません。
訓練の申し込み用紙をもらう時に、すでに雇用保険の「受給資格証」を持っているとスムーズに手続きが出来ると思います。
私は仕事を辞めてすぐ、受給資格証をもらう前に、訓練の申し込みに行ったのですが受給資格証を持ってきたら申込書を渡しますと言われました。
まずは、離職票を出してもらい、雇用保険の手続きを済ましておきましょう。
申し込みにもハードルがある
職業訓練を受ける際に、ハローワークの職員さんから
「なぜこの訓練を受けたいのか?」
という質問をされました。
理由によっては申し込みさえさせてもらえないこともあるようです。
私が申し込み用紙をもらいに行った時に、隣の窓口で申し込みに来ていた年配の方がこっぴどくダメだしされていました。
私が受講を希望したのは”医療事務講座”でした。
資格を取ってこれから長く働きたいこと、前の仕事で体を痛めてしまい、辞めた経緯などを話したら、何とか申し込みすることができました。
受講する講座によって違うようですが、私が希望したこの医療事務講座は申込み書の他にジョブカードの提出が必要でした。
ジョブカードは職務経歴書のようなものです。
これを必死に書き上げ、提出し、後日選考が行われました。
選考試験では30分の筆記試験と5分程度の面接がありました。
筆記試験は、漢字の読みと書き、一般常識穴埋め問題、英単語訳、数学の文章問題、数学の公式などが出ました。
面接は、この訓練の志望動機や前の仕事を辞めた理由などを聞かれました。
職業訓練の受講資格は?
基本的に、職業訓練は、求職中の人なら誰でも受けることができます。
ただ、失業保険のある人とない人では、訓練の実施機関が異なり、受けられる講座等が変わります。
失業保険が受給できる人は「公共職業訓練」、失業保険を受給していない人は「求職者支援訓練」の受講になります。
職業訓練でもらえる手当や給付金がある?
職業訓練を受けるときに貰える手当や、給付金がありますが、「公共職業訓練」と「求職者支援訓練」では異なります。
それぞれ、見ていきましょう。
「公共職業訓練」
失業保険が受給できる人で、公共職業訓練を受ける場合、受講すると、失業保険の給付は課程が修了するまで延長することができます。
基本的に失業保険は90日、120日から150日、240日以上の3つのどれかに当てはまり、受け取れる期間や金額は決まっています。
しかし受講することで「訓練延長給付金」が受け取れます。
ただ、これは失業保険受給の残日数によってもらえるか決まります。
人によって違いますので、それぞれ決められた残日数があれば訓練延長給付金が受け取れます。
ですから、失業したらなるべく早く訓練を受けたほうが訓練延長給付がもらいやすくなり、残日数が満たしてないと訓練延長給付金はもらえません。
「求職者支援訓練」
失業保険を受給できない求職者が受けることのできる訓練ですが、一定の条件を満たすと、以下の手当が受けられます。
- 職業訓練受講手当:月額10万円
- 通所手当:職業訓練実施場所までの交通費(上限額あり)
- 寄宿手当 :月額10,700円(訓練受講中、寄宿先がある場合)
もらうためには様々な条件があるので、自分が当てはまっているか確認したほうが良いでしょう。
職業訓練の受講場所は?
公共職業訓練の場合は、国や各都道府県、各都道府県から委託された民間の教育訓練機関によって、以下の場所で実施されています。
受講する訓練によって場所が異なります。
- 職業能力開発校
- 職業能力開発短期大学校や職業能力開発大学校(ポリテクカレッジ)
- 職業能力開発促進センター(ポリテクセンター)
全国に157箇所ありますが、都道府県によって多少名称は異なります。主に職業能力開発校で実施されています。
高卒者がメインで、高度で専門的な職業訓練を実施しています。機構が主体となっている施設と都道府県が主体となっている施設があり、全国に24箇所あります。
短期間の職業訓練を実施しています。機構が主体となっている施設で、全国に61箇所あります。
専修学校などの民間教育訓練機関などへ委託して、求職者向けの職業訓練を実施しています。
求職者支援訓練は、訓練ごとに厚生労働省が認定した民間の教育訓練機関でそれぞれ実施されています。
公共職業訓練の申し込みからの流れ
- 相談~申し込み
- 受講の申し込み
- 面接と筆記試験を受ける
- 選考結果通知
まず、ハローワークの職業訓練専用窓口で、自分が利用できる制度や応募できる職業訓練コースの相談をしてみましょう。どのような資格やスキルを取得して、今後どのような仕事につなげていきたいかということが大切になります。
給付金などをもらうためだけに訓練を受けようとする人も中にはいるようですが、しっかりと今後の仕事につなげていく気持ちが欠けている人は受講できません。
申込み後、面談もありますから、そこできちんとした考えを言えるようにしておいたほうが良いでしょう。
指定の受講申込書をもらい、必要事項を記入して、ハローワークの窓口に提出します。講座によってはジョブカードの提出も必要です。
職業訓練を受ける機関で面接と筆記試験を受けます。面談では「なぜこの訓練を受けたいのか」「今後どのような仕事に就きたいのか」「離職理由」などを聞かれますから、事前に考えをまとめておきましょう。
筆記では漢字の読み書き、一般常識穴埋め問題、英単語訳、数学の文章問題、数学の公式などが出題されました。インターネットなどで事前にチェックして、しっかり対策して臨んだほうが良いでしょう。
選考結果の通知が届きます。
職業訓練機関から合格通知がきたら、それを持って再度ハローワークで受講手続きをします。